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薔薇の香りの系統図

こんにちは。
代表の井崎真奈美です・

今日は秋晴れ。

近くの幼稚園の運動会の賑やかな声が

秋風と一緒に届いてきます。

 

さて、10月6日に開催したセミナーイベント

「天然の香りの魅力を探る!香りの化学と美学シリーズ2」

のテーマは「ローズ」の香りだったため、

藤森 嶺先生(東京農業大学客員教授)のお話の後、

「薔薇の香りの系統」についてお話させていただきました。

これを機に調べてまとめたことを

ブログに書いてみたいと思います。

 

バラの香りの系統

 

バラが地球上のあちこちに出現したと言われる時期は

5000万年前と言われています。

小さな野ばらが原種ということで

現在より少し温暖だったヒマラヤの高地から東西に

東は中国、インドへ

西はペルシャへと広まっていったと言われます。

 

そして、人とバラの関係が史実に残っているのは、

紀元前5,000年のメソポタミア文明。

メソポタミアを作り上げたシュメール人の英雄

ギルガメッシュを描いた逸話「ギルガメッシュの叙事詩」

を記した粘土板に「バラは永遠の命・・」

と刻まれたものが今も残っています。

 

また、ギルガメッシュを誘惑する女神を象った石膏が

パリのルーブル美術館に所蔵されている

「花の香りを嗅ぐ女神」という作品ですが、

その手に持っていた一輪の花が

ロサ・ガリガまたはロサ・ダマセナだろうと言われています。

図1

(薔薇のパルファム 蓬田勝之署 より)

 

バラの歴史は、BC15世紀のロサ・ガリガと

ロサ・フェニキアから始まったと言われます。

おおまかには、1つの流れは、ヨーロッパ系

ロサ・ガリガとロサ・フェニキアがロサ・ダマセナを生み、

ロサ・ダマセナとロサ・カニナがロサ・アルバを生みます。

そしてセンチフォリアを経て

甘い華麗な香りのハイブリッドパペチュアルローズへとたどり着きます。

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ハイブリッドパペチュアルローズ

 

もうひとつの流れは、チャイナ(ティー)系。

ロサ・ギガンティアとロサ・シネンシスとの

爽やかで品のある香りの中国のバラが

チャイナ系、ノアゼット系を経て

ティーローズへと結晶します。

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ティーローズ

 

これらの「ハイブリットパペチュアルローズ」と

「ティーローズ」が出会って、

モダンローズと呼ばれる

ハイブリットティーローズ「ラ・フランス」が生まれました。

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ラ・フランス

ラフランスはまさに定冠詞付きの国名であり、

フランスの威信をかけてつけられたネーミングです。

 

それでは、ひとつひとつの香りの特徴についてですが・・

 

①ロサ・ガリガ・・アジア・中近東原産で紀元前にヨーローバに伝わった 華やかな甘さの強さが特徴です。

②ロサ・フィニキア・・アジア原産でフェニキア人が航海によりヨーロッパへ持ち帰った華やかな甘さとシトラスノートがミックスし、フルーティーな部分もあります。

③ ロサ・ダマセナ・・花は薄いピンク色、芳香が強く香料用として、ブルガリア、トルコなどで栽培されています。

④ロサ・カニナ・・香りに関する資料はあまりありませんが、一重咲の可憐な花で。実はローズヒップ。ビタミンCが豊富なハーブティーなどとして飲用されます。

⑤ロサ・アルバ・・アルバとは「白」という意味。白い花びらでパウダリーな甘い香りです。

⑥ロサ・モスキャータ・・モスキャータとはその名のとおり「ムスク様」の香り。実際にムスクの香りというよりは香りが強い、と意味の解釈のようです。

⑦ロサ・ダマスセナビフェラ(オータム・ダマスク)・・秋に咲くダマスク系の香りでロサ・アルバの系統との間にセンチフォリアを生みました。

⑧センチフォリア・・センチは100、フォリアは花びら 中心が4つに分かれ花びらは淡いピンク大輪の花をつけます。南フランスのグラースなどで栽培。5月から6月に咲くことから別名ローズドメ(5月のバラ)香りはダマスクローズの系統を引きます。

 

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ボッティチェッリの作品「ヴィーナスの誕生」に描かれている花は

センチフォリアだと言われます。

もうひとつの奔流は、ティーの香りと四季咲き性をもたらしたチャイナ系です。

⑨ロサ・ギガンティア・・中国原産ティーローズの祖先 甘く華麗なヨーロッパのバラの香りに気品あるティーの香りをもたらしました。ティーとは紅茶のような爽やかな香り。花はクリーム色の一重咲の大輪。花の終りに花弁は外へ反り返って剣弁ります。モダンローズの花びらの性質もここから来ているのではないかと考えられます。

⑩ロサ・シネンシス・・60日に1度咲くという四季咲き性を、ヨーロッパにもたらした貴重な基本種です。

ロサ・ギガンティアとシネンシスはチャイナローズ系統をつくり、ティーローズの流れへ続いていきます。

⑪ノアゼット系・・チャイナ系の流れを継ぐバラ。ガリガ系にはない香りの成分、花屋に入った時の花と緑と打ち水の湿っぽさのある香りです。

⑫ブルボン系・・西洋のばらと東洋のばらが交配されて誕生した最も初期の系統一つで、最初にブルボン島(フランスの海外県、マダガスカルの東方、現在のレユニオン島)で発見されたことからこの系統名が名付けられました。香りはダマスクローズに近く、四季咲きのものもあります。

⑬ティーローズ・・四季咲き、多彩な花色をもつ。ティーの爽やかで上品な香り。

一方、ヨーロッパ系では

⑭ハイブリットパペチュアルローズ・・センチフォリア系から交配を重ねながら生まれた甘い華やかなダマスクの血を引く、花びらも多くゴージャスなバラ。

⑮ラ・フランス・・ティーローズとハイブリットパペチュアルローズから生まれた、ヨーロッパとチャイナの合体であり、そしてオールドローズとモダンローズの合体。

チャイナ系の四季咲きや多彩な花色に加え、ヨーロッパ系の強さを持ちます。

香りの面では、チャイナ系の爽やかで上品なティーの香りに、ヨーロッパ系ダマスクの華やかな甘さを持ち合わせたモダンローズのもととなる品種です。

⑯ペルネシアナ系・・モダンローズにつながるフルーティー系の甘さを持ちます。

そして現在、モダンローズの香りは

6つのタイプに分類されています。

それぞれの特徴は・・・・

1.スパイシー・・・ダマスクの中にクローブ(丁子)の香り

2.ブルー・・ブルーの花色を持つ品種のほとんどにある、主としてダマスクモダンとティーの香り成分が混在し、ほかにはない独特の香りを作り出している。

3.フルーティー・・・ピーチ、アプリコット、アップルのような甘いフルーツの香り

4.ティー・・・・上品で優雅な印象

5.ダマスク・モダン・・・香り立ちは強く情熱的で洗練された香り

6.ダマスク・クラシック・・・甘さと華やかさ、爽やかさを併せ持っていて心酔わせる香り。

参考文献:薔薇のパルファム 蓬田勝之署

優雅な薔薇の香りは,想像を絶する長い時のなかで

交配により生み出され引き継がれており、

近年では改良を加えてきたブリーダーの方々の

粘り強い努力のうえに生み出された新しい香りもあります。

 

改めて奥深い香りの世界に引き込まれた秋です。

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